白髪が徐々に増えはじめると、『年取ったなあ』とか『老けたなあ』と寂しい気分になってしまいますよね。
年齢を重ねるということは決して悪いことではないのに、私たちはなぜか老いに恐怖を感じてしまいます。しかし、いつまでも健康的で若々しくありたいと願うのは人間として自然なことなのかもしれません。
あなたは10年後の自分の姿が想像できますか?
白髪の発生は、自然な老化現象の一つとして認識されていることが多いのではないでしょうか。もちろん、老化現象として白髪が発生することも間違いではありません。
しかし、意外な原因で白髪が発生することもあります。
このページでは、白髪が生える様々な原因と予防・改善法について解説しています。髪の健康を保ち続けるために必要なことをぜひ実践してみてください。
白髪が生えるメカニズム
白髪が生えるメカニズムを解明するためには、どうして私たちの髪の毛には色が付いているのかということについて知る必要があります。順を追ってみていきましょう。
髪の毛は、毛母細胞が毛乳頭から栄養を吸収して細胞分裂することで作られていきます。作られたばかりの髪の毛は無色透明で、色がついていません。成長する過程で毛母細胞の周りにあるメラノサイトという色素細胞がメラニン色素を作り出し、メラニン色素が髪の毛に加わることで髪に色がついていきます。
ところが、何らかの原因によって髪の毛にメラニン色素が含まれなくなることがあります。このような場合、髪の毛は無色透明のままで伸びていきます。
この無色透明の髪の毛が、白髪の正体なのです。
では、どうしてメラニン色素が含まれない事態が発生するのでしょうか?現在のところ、以下のような原因が考えられています。
① メラノサイトに関する要因
メラノサイトは、その名の通り『細胞』です。
細胞の数を調整する機能が人間に備わっている以上、メラノサイトが細胞の死滅等により減少した場合、供給するメカニズムが働くことになります。
メラノサイトは、色素幹細胞から細胞分化を経て供給されています。
細胞分化とは、細胞分裂とは異なり、細胞が増殖することではありません。色素幹細胞がメラノサイトに細胞分化した場合、色素幹細胞から減少します。
つまり、色素幹細胞が枯渇してしまうとメラノサイトを作ることができなくなるため、メラニン色素を生成できず、白髪が発生してしまうのです。
ただし、色素幹細胞は自己複製機能をもっていますので、通常であれば色素幹細胞が自己を複製するため枯渇することはありません。
しかし、色素幹細胞の中にあるDNAが損傷してしまうことによって、色素幹細胞がうまく自己複製できなくなると、残っている色素幹細胞がすべて細胞分化し、それ以上のメラノサイトを作ることができなくなってしまいます。
② チロシナーゼに関する要因
メラノサイトがメラニン色素を生成するときに必要となるのが、チロシナーゼという酵素です。
チロシナーゼの働きが悪くなると、メラノサイトが十分にあったとしてもメラニン色素が生成されないため、毛髪に着色がされず、白髪が生えてしまいます。
③ メラニン色素に関する要因
メラニン色素を構成する栄養素が不足していると、メラニン色素を新しく生成することができません。また、栄養不足によって白髪が発生している場合、髪の毛の材料となる栄養素が全体的に不足していることも多いため、白髪の増加だけでなく、髪質の悪化や細毛の増加などのトラブルも発生しやすくなります。
白髪が生える原因と予防・対策
白髪が発生するメカニズムが分かったところで、次は白髪が発生する原因について見ていきましょう。
白髪が増える主な原因は老化ですが、それ以外にも栄養不足や睡眠不足、ストレスなどによって白髪が増加することがあります。
また、白髪が生えやすい病気も存在します。病気の症状で白髪が生えている場合、病気を治療することで自然に白髪が改善するケースもあります。
白髪の原因① 栄養不足
過度なダイエット、特に極端な食事制限を行ったダイエットでは、十分な栄養が摂れません。そのため、メラノサイトやメラニン色素を生成するチロシナーゼを活性化することができずに白髪になることがあります。
また、栄養不足が悪化すると、以下のような欠乏症に陥ることがあります。欠乏症の症状として、薄毛や髪質の悪化、白髪の増加などが報告されています。
白髪を予防・改善するためには、バランスの良い食事をとり、タンパク質やビタミン・ミネラルを十分に摂取することが大切です。
ヨード(ヨウ素)やチロシン、銅などの栄養素は髪の毛の生成に深く関わっているため、意識的に摂取するのがおすすめです。
ヨード
ヨード(ヨウ素)はコンブやワカメといった海藻類に多く含まれており、細胞の成長を促進する作用があります。そのため、細胞であるメラノサイトの成長を促進し、メラニン色素の生成を手助けします。
チロシン
チロシンはメラニン色素そのものの原料となる栄養素です。チロシンが不足していた場合、メラノサイトが活性化していても、メラニン色素を生成することができません。チロシンには、抗ストレス作用もありますので、ストレスによる白髪の予防にもつながります。
チロシンはチーズ類や納豆、アーモンド、大豆、カツオ、マグロなどに多く含まれています。
銅
銅はチロシナーゼを活性化する働きがあるミネラルです。体内で生成することのできない栄養素ですので、経口補給を行うしかありません。
銅は大豆や納豆、ゴボウ、かんぴょう、そば、サツマイモ、エビ、カニなどに多く含まれています。
詳しくは、白髪を予防・改善する食べ物・黒髪を増やすために必要な栄養素とは?をご覧ください。
白髪の原因② 血行不良
体内に取り込まれた栄養素は、血液に乗って運ばれていきます。
毛髪に関する栄養は、頭皮の毛細血管の隅々まで運ぶ必要がありますが、血行が悪いとせっかく補給した栄養も十分に行き届きません。
頭皮が血行不良になる原因として、肩こりや眼精疲労が挙げられます。
肩こりや眼精疲労によって頭部の筋肉が凝り固まると、毛細血管が収縮し、血行が悪化するため、白髪の増加につながります。
頭部には、前頭筋・側頭筋・後頭筋の3つの筋肉があります。
中でも特に白髪が生えやすいのが側頭筋の部分です。デスクワークなどで目を酷使する人や眼鏡をかけている人は、側頭筋が凝りやすく、耳の上やもみあげなどの側頭部から白髪が生えやすくなります。
また、まぶたの筋肉が衰えている人は、目を開くときにおでこの筋肉を使うため、前頭筋が凝りやすくなります。
肩こりが酷い人や姿勢が悪い人は後頭筋が凝りやすいため、後頭部(首の上あたり)から白髪が生えることがあります。
頭皮を指圧してみて、痛いと感じたり、感覚が鈍いと感じた場合は、頭皮の血行が悪くなっている恐れがあります。このような頭皮の凝りを改善するには、頭皮マッサージが有効です。
頭皮マッサージで血行を改善
頭皮の血行を良くするためには、肩や首にある大きな血管から頭皮の細い血管に向かってマッサージをしたり、頭のツボを軽く指圧すると効果的です。NHKのテレビ番組『ためしてガッテン』では、頭皮を指圧することが血行改善に最も効果的という実験結果も出ています。
強く揉んだりこすったりすると、頭皮の細胞がダメージを受けたり、内出血を起こす可能性があります。揉みすぎて逆効果にならないように注意してください。
白髪の原因③ ストレス
白髪の原因として、ストレスは非常に有名ですが、なぜストレスが白髪を誘発するかということまではそれほど知られていないようです。
強いストレスは、自律神経の乱れを引き起こします。自律神経には、活動時に活発になる『交感神経』とリラックス時に活発になる『副交感神経』があります。正常時には、交感神経と副交感神経がうまく切り替わることで、私たちの体は健康に保たれています。
しかし、強いストレス下にあると交感神経ばかりが働くようになります。交感神経が働くと、筋肉が固くなり、末梢血管が収縮するため、頭皮の血行状態が悪化します。
また、病気や傷の回復を行ったり、栄養を吸収する時には副交感神経が働く必要がありますが、ストレスにより交感神経が優位になっていると、十分な回復や栄養吸収ができなくなります。すると、細胞の新陳代謝が悪化していきますので、頭皮や毛根を含め、身体全体の老化が早まります。
さらに、ストレスは毛根にあるメラノサイトを破壊するといわれています。メラノサイトが破壊されるとメラニン色素が生成できなくなってしまいます。そのため、長期間にわたりストレスを強く感じる状況下にあると、白髪が増加しやすくなります。
適度なストレスは人生を豊かしてくれるものでもありますが、ため込みすぎると自律神経の乱れを引き起こし、健康を著しく害してしまいます。
ストレスに影響されにくい肉体を作るためには、規則正しい生活を送り、バランスの良い食事をとることが大切です。適度な運動や質の良い睡眠を確保し、友人との楽しいおしゃべりなどで適度にストレスを解消させていきましょう。
白髪の原因④ 遺伝
白髪の生え方は、多かれ少なかれ遺伝の影響を受けています。例えば、親が若白髪だった場合には、その特徴が子に受け継がれることがありますし、年齢を重ねても黒々としたコシのある髪の毛を保っている人は、子供もそうである可能性が高いのです。
しかし、遺伝によって全てが決まるわけではありません。 先程も述べたように、白髪の生え方には遺伝以外の要素も大きく影響しています。
遺伝を変えることはできませんが、それ以外の要素には改善できる点がたくさんあるはずです。
老化によって白髪は増加しますが、白髪は老化だけが原因で増加するわけではありません。
老化を避けることはできませんが、それ以外の間接的な要因(生活習慣や食事など)を一つ一つ解決していくことで、老化を遅らせ、白髪を予防・改善していくことは可能です。
例えば、同じDNAを持った一卵性双生児について考えてみましょう。
彼らは、産まれたときにはそっくりな姿をしています。しかし、大人になり、別々に暮らしはじめると、徐々に外見に違いが出始めます。それぞれが送ってきた人生により、老化の速度に差が現れるのです。
同じDNAでも、ポジティブで健康的な生活を送っていれば若々しく、そうでなければ老化が早まるということが様々な研究で報告されています。
白髪を予防し、髪の健康を維持するために
いつまでもきれいな黒髪でいたいという気持ちは、女性であっても男性であっても、変わらないのではないでしょうか。
これまで、白髪は加齢や遺伝によるものと考えられていましたが、昨今の研究において、ようやく白髪が生えるメカニズムが判明してきました。
老化によって細胞が死滅していくのは防ぎようがありませんが、老化以外の原因によって色素幹細胞やメラノサイトが枯渇することを予防できれば、美しい黒髪を長期間キープすることができます。
また、白髪の原因は、色素幹細胞やメラノサイトの枯渇だけではなく、メラニン色素の生成ができないことも原因の一つです。
メラニン色素の生成不良に関する白髪は老化による白髪ではありませんので、メラニン色素を生成できる環境を整えることができれば、白髪を予防・改善させることも可能です。
まずは、バランスよく栄養を摂取すること、摂取した栄養を送れるように血行を良くすること、過度なストレスをためないことなどを意識して、生活習慣を変えてみてください。
すでに生えている白髪のケア方法とは?
白髪は普段の生活週間である程度は予防することができますが、すでに生えている白髪はどのようにケアをすればいいのでしょうか?
無添加の白髪染めやヘアカラートリートメントを使う
白髪のケアといえば、まず思いつくのが白髪染めです。ご自身で白髪染めをしているという方も多いのでは?
市販の白髪染めは、安くて綺麗に染まるので、使いやすいというメリットがある反面、強い刺激を与える化学染料が含まれており、接触皮膚炎やジアミンアレルギーを引き起こす恐れがあります。このような症状により、頭皮や毛根にダメージが蓄積され、白髪の増加につながる可能性もあります。
以下のページでも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
ジアミンアレルギーの症状と対策 白髪染めで髪のボリュームが減っていませんか?
白髪を隠すために行っている白髪染めで、さらに白髪を増やすようなことがあっては本末転倒ですよね。白髪を染めるなら、髪や頭皮にダメージを与えない無添加の白髪染めを使うのがおすすめです。
現在ではトリートメントタイプの無添加白髪染めも増えており、カラーの種類も選べるようになっています。また、トリートメントタイプなら、毎日のお風呂の行程に加えるだけで自然に染めることができます。無添加ですが綺麗に染まりますよ。ぜひ試してみてください。
当サイトが実際に使ってみたレビューはこちら⇒利尻ヘアカラートリートメントのレビュー・体験記 1ヶ月使用の結果【写真あり】
白髪ケアサプリを利用する
食事だけで育毛に必要な栄養素を全て摂取するというのは、現実的にはかなり難しいことかもしれません。そのような場合には白髪予防サプリを利用するのもおすすめです。
サプリメントには女性に不足しがちなミネラルや、黒髪の育毛に必要な成分が多く含まれており、手軽に継続して栄養を摂取することができます。また、身体の内部から成分を取り入れることで、より健康的な身体作りをしていくことが可能です。
サプリは長期的に摂取することで効果がわかります。ヘアサイクルにおいても、古い髪が抜けて新しい髪が生えるまでの期間は3ヶ月〜半年程度と言われています。ですから、最低でも半年以上は続けて様子を見るようにしてくださいね。
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