ときおり頭皮がムズムズ・チクチクとした痒みに襲われることはありませんか?もしかしたらそれ、新しい白髪が伸びつつある前兆かもしれません。
実は、白髪が生えるときに、頭皮の神経を細かく刺激するような痒みが発生することがあります。
なぜ白髪が生えると頭が痒くなってしまうのでしょうか? 白髪によって引き起こされる痒みの原因と対処法について解説します。
白髪が生えると頭が痒くなるメカニズムとは?
白髪が生えると頭が痒くなるのはなぜなのでしょうか?
そこには、白髪の太さや伸びる速さが関係していると考えられます。
巷でよく耳にする『白髪は黒髪よりも伸びるのが速い』とか『白髪は黒髪よりも太い』という俗説は、果たして事実なのでしょうか?
では、それぞれの俗説について早速検証していきましょう!
俗説① 『白髪が伸びるスピードは異常に速い』
つい最近まで全く白髪がなかったのに、突然うねりのある長い白髪が出現して驚いた経験はありませんか?
『あれ、こんなところに白髪なんてあったっけ? 』『この間、白髪チェックしたときには全然見当たらなかったのに!』と仰天したことのある人も多いのではないでしょうか?
一方で、黒髪も白髪も伸びるスピードは変わらないという意見や、白髪は目立つからそう感じるだけでは?という意見もあります。
俗説② 『白髪は黒髪よりも太い』
白髪って、太くて目立ちますよね。黒髪の中に1本だけ白髪があると、太くて丈夫そうで、パッと目をひいてしまいます。
しかし、白髪は、本来なら老化現象によって生えてくるもののはず。
毛根は加齢によって徐々に活力を失っていくので、太くて丈夫が白髪が生えるというのはなんだか矛盾した現象のようにも思えます。
これに対し、白髪が太いと感じるのは、膨張色だから目の錯覚でそう見えるだけなのでは?という意見もあります。
これらの2つの俗説は、果たして本当に正しいのでしょうか?
『白髪は黒髪より太く、伸びるのが速い』は正しかった!
白髪は、できれば生えないでほしいという多くの女性の切実な願いもむなしく、むしろ黒髪よりも太く、ハイスピードで生えてくるということが分かりました。
2004年に資生堂が北里大学医学部 勝岡憲生教授と行った共同研究で、日本人37名の被験者から総数32,000本の毛髪サンプルを採取して解析を行った結果、白髪には以下の特徴がみられることが明らかになりました。
- 白髪の発生率には部位によって差があり、特に後頭部では少ない
- 白髪の直径は黒髪よりも太い(平均値比較)
- 白髪の伸びる速度は黒髪よりも速い(平均値比較)
- 成長期にある白髪の比率は、黒髪よりも高い(平均値比較)
- 白髪の断面の形状は、黒髪よりも偏平な傾向にある
この研究によって、白髪は黒髪よりも太くなり、伸びるスピードも速い傾向があることが明らかになり、俗説が間違いではないことが裏付けられました。
成長期の比率は白髪の方が黒髪よりも高い
上記の研究においては、成長期にある白髪の比率が黒髪より高いという結果が出ていることにも注目です。
ヘアサイクルには、成長期・退行期・休止期があり、このサイクルによって髪の生え変わりを繰り返しています。
成長期は、毛母細胞の細胞分裂が活発で、髪の毛がどんどん成長していく期間です。退行期には、毛母細胞の活動が弱まり、髪の毛の成長が止まります。そして、休止期になると髪の毛は自然に抜け落ち、次に生え変わるまでの準備に入ります。
成長期にある白髪の比率が黒髪よりも高いということは、つまり、白髪の方が黒髪よりも長期間成長しているか、もしくは退行期・休止期の期間が短いということになります。
白髪はなぜこれほど元気に生えてくるのか、とても不思議ですね。
白髪が生えると頭が痒くなるメカニズム
白髪が生えるときに頭が痒くなるメカニズムはまだ科学的には解明されていませんが、白髪が生えるときに周りの毛穴を刺激することで痒みを感じるのではないかと言われています。
新しい白髪が生えるときには、元々黒髪が生えていた毛穴から、黒髪よりも太い白髪が速いスピードで伸びていきます。
そのため、毛穴が押し広げられ、ムズムズ・チクチクと頭皮の神経を刺激するようなかゆみが発生するのではないかと考えられます。
白髪が伸びる時に、毛穴が痒くなる物質が分泌されているのではないかという報告もありますが、今のところまだ詳しいことはわかっていません。
本当に恐ろしいのは、このようなかゆみが頭皮の広範囲で起きた場合です。もしかしたら、白髪が一気に増える前兆かもしれません。
白髪が伸びるスピードはどうして速いの?
一般的に、白髪は老化により増えていくものです。ということは、白髪が生える毛根は決して若くて活力のある状態ではないはず。
それなのに、黒髪よりも白髪の方が伸びるのが速いなんて不思議ですよね。白髪が伸びるスピードはどうして速いのでしょうか?
これについてもまだ詳しいことは明らかになっていませんが、一つの仮説をご紹介しておきます。
メラニン色素を作る行程がなくなるから?
髪の毛は、毛母細胞が細胞分裂することで成長していきます。元々作られたばかりの髪の毛は色がついておらず、白髪の状態です。そこにメラノサイトという色素細胞で作られたメラニン色素が加わり、髪の毛に色がつくのです。
ところが、 白髪が生えるときには、なんらかの原因でメラノサイトの働きが悪化しているか、メラノサイトの数自体が減っており、メラニン色素が生成されなくなっています。
そのため、『髪の毛に色をつける』という行程がなくなることで、その分、白髪が早く伸びるのではないかという見解もあります。
白髪がチリチリとうねっているのはどうして?
白髪がチリチリとうねっている理由は、白髪の断面の形状に関係があります。
白髪の断面は黒髪よりも平べったい形をしています。そのため、伸びるとうねりのある形状になってしまうのです。
このことについては、『白髪の断面の形状は黒髪よりも扁平な傾向にある』ということが資生堂と北里大学との研究で明らかになっています。
では、なぜ髪の毛の断面が平べったいと、うねりが生じてしまうのでしょうか?
一般的に、日本人の髪の毛は断面が丸い形をしています。髪の毛の断面が円に近ければ近いほどまっすぐに伸びるため、美しいストレートヘアになりやすいのです。
これに対し、くせ毛やうねりのある髪の毛は、断面が楕円形やいびつな形状をしています。この場合、髪の毛が伸びるときに歪みが生じ、クネクネとうねりのある形になっていきます。
ちなみに、髪質は加齢によって変化することがあります。生まれつきストレートヘアだった人が、年齢を重ねるとくせ毛に変化したというケースも少なくありません。
このような髪質変化の原因の一つに、頭皮のコラーゲン量の減少が挙げられます。加齢によって頭皮のコラーゲン量が減り、毛穴に歪みが生じるのです。
頭皮や髪の老化予防にコラーゲンの摂取が有効であることは、様々な研究により実証されています。
白髪は黒髪よりもパサパサに乾燥しやすい
白髪にうねりがあるのは、髪の乾燥にも原因がありそうです。
白髪は、黒髪に比べるとパサパサしていて水分量が少なめです。たまに、ぎょっとするほど硬くてゴワゴワな手触りの白髪を見つけることも。
その理由は、白髪にはメラニン色素が含まれていないからです。
メラニン色素には親水性があり、水分を保ちやすい性質があります。
そのため、メラニン色素を多く含んだ黒髪がしっとりと美しい艶を維持しているのに対し、白髪はパサパサに乾燥しやすいと言われています。
白髪染めで髪質はますます悪化する
すでに市販の白髪染めを使っている人も多いのではないでしょうか?
市販の白髪染めには、パラフェニレンジアミン(PPD)という合成化学染料が含まれています。ジアミンは、様々な色味を作り出すことができ、濃い色に染めることができるため、多くの髪染め剤に使われています。
その反面、刺激が強く、頭皮に付着すると接触皮膚炎やアレルギーを引き起こしやすいというデメリットがあります。
年齢を重ねた頭皮は、皮膚のバリア機能や修復機能が衰えつつあります。そのような中で、刺激の強い成分を使い続けた場合、ダメージが蓄積されてしまう恐れもあります。
⇒ ジアミンアレルギーの症状と対策 白髪染めで髪のボリュームが減っていませんか?
また、白髪染めを繰り返し行うことで、髪表面のキューティクルが開き、毛髪内部のタンパク質が流出します。すると、髪の毛の水分量が減少し、パサパサ・スカスカの状態になってしまいます。
一旦このような状態になると、髪の毛をいくら染めても色が長持ちせず、白髪染めの頻度が上がり、さらに髪の毛を傷めるという悪循環に陥ってしまいます。
白髪染めは白髪を隠すためのものなのに、大切な黒髪まで影響を受けてしまってはもったいないですよね。
頭皮や髪の健康を維持するためにも、できるだけ白髪染めの回数は減らしたいものです。
できるだけ白髪を増やさないための対処法
頭がムズムズと痒くなってきたら、『また白髪が増えてしまうかも?』とちょっぴり不安で悲しい気持ちになってしまうかもしれませんね。
できれば今後も白髪を増やしたくないし、今生えている白髪も減らしたいというのが本音ではないでしょうか?
白髪は一度生えたらもう二度と改善しないということはなく、メラノサイトが活性化することで再び黒髪に戻ることもあります。
正しい頭皮ケアを行い、白髪を予防・改善していきましょう。
頭皮マッサージ
頭がムズムズと痒い時には、掻きむしったりせずに、頭皮マッサージをしてみましょう。
年齢を重ねると白髪が増加するのは、メラノサイトが正常に機能しなくなったり、メラノサイトの数が減少してしまうからです。
メラノサイトの働きが低下する要因の一つに、頭皮の血行不良が挙げられます。頭皮の血行が悪化していると、必要な栄養が十分に行き届かなくなります。
メラノサイトを活性化させるためには、頭皮に張り巡らされた毛細血管の血流を向上させる必要があります。
血行改善にはいくつか方法がありますが、頭皮マッサージも有効な方法の一つ。定期的に頭皮マッサージを行うことで身体の外側から刺激を与え、血流を良くしていきます。
頭部には、前頭筋・側頭筋・後頭筋という3つの筋肉があります。これらの筋肉が凝り固まっていると、頭皮の毛細血管が収縮し、頭部全体の血流が滞ってしまいます。おでこの上、耳の周り、そして後頭部をほぐすようにマッサージしていきましょう。
無添加の白髪染め
市販の白髪染めで髪を傷めたくないという方におすすめなのが、ヘアカラートリートメントです。自宅で簡単に染められ、長時間使用しても髪や頭皮を傷めることもありません。
もちろん、トリートメントとしての効果もありますので、使えば使うほど髪の毛が潤います。
シャンプー後にトリートメント感覚で使うこともできますし、お風呂で染めてもお風呂場が汚れないというのも嬉しいメリット。
当サイトでも実際に使用し、染まり具合などをレビューしています。ぜひ参考にしてみてください。
⇒ 利尻ヘアカラートリートメントのレビュー・体験記 1ヶ月使用の結果【写真あり】
白髪予防に役立つ栄養素
メラノサイトから作られるメラニン色素は、チロシンという成分を原料にして作られます。
チロシンから生成されたチロシナーゼは銅イオンと結合を繰り返し、真性メラニン色素になります。
そのため、メラニン色素の生成に必要となるチロシンや銅などの栄養素を十分に摂取することが白髪予防に役立つのではないかと考えられます。
チロシンは、パルミジャーノ・レッジャーノという種類のチーズや納豆に多く含まれています。納豆をしばらく放置すると、表面に白っぽいブツブツがあらわれますよね。これがチロシンの結晶です。
納豆は、髪だけでなく、美容や健康のためにもぜひ毎日食卓に取り入れたい食品です。納豆には、女性ホルモン(エストロゲン)に似た構造を持つ大豆イソフラボンも多く含まれています。
エストロゲンには、髪の毛を増やし、髪のハリやコシを保つ働きがあるとされています。また、エストロゲンが減少して男性ホルモンが優位になると、女性の薄毛の原因になるとも言われています。
そのため、減少したエストロゲンの働きを補う大豆イソフラボンの摂取が髪の健康維持に役立つと考えられます。
また、銅や亜鉛、鉄分、マグネシウムなどのミネラルも白髪の予防・改善に必要な栄養素です。これらは主に動物性の食品に多く含まれています。特に摂取したいのが牛・豚・鶏のレバーです。レバーには、髪に必要なミネラルが豊富に含まれています。
動物性食品を食べるメリットは、植物性食品よりも吸収率が圧倒的に高いことにあります。もちろん、植物性食品にも栄養は含まれていますが、食物繊維に吸収が阻まれるため、吸収率は非常に低いのです。
そして、これらの栄養素をしっかりと毛根に届けるためには、全身の血流を改善しなければなりません。そこで、血行促進に役立つとされるトコフェロール(ビタミンE)も意識的に摂取したいところです。
ミネラルやビタミンが豊富な食品としては、うなぎや牡蛎、ナッツ類、黒胡麻などもおすすめです。
食事で栄養を摂取するのが難しい場合には、サプリメントをうまく利用しましょう。
毛髪ケアを目的としたサプリメントもあります。髪に必要な成分がバランス良く配合されていますので、いろいろな種類を飲む必要がなく、とても便利です。ぜひお試しください。
頭皮が痒くなったら白髪ケアを始めましょう
今回は、白髪は黒髪よりも太くて伸びるスピードが速いという研究結果についてご紹介しました。
白髪が増え始めることと頭皮がむず痒くなることには、やはり何らかの関連性があるようです。頭皮がムズムズと痒くなってきたら、頭皮マッサージや栄養の摂取で白髪ケアを始めていきましょう。
すでに生えてしまった白髪は、まずは髪を傷めないヘアカラートリートメントやヘアマスカラで対処するのがおすすめです。
こちらの記事もあわせてどうぞ。
20代なのにどうして白髪が生えるの?若白髪の原因と予防法・改善法
銀歯でハゲる!?金属アレルギーが円形脱毛症や白髪の原因となる恐れ
白髪を隠すならどの方法?抜く?切る?染める?正しい対処法は?
びまん性脱毛症(FAGA、女性男性型脱毛症)とは?症状と原因、治療法について