パラパラと乾燥した大量のフケ、頭皮にできた白っぽい色のかさぶた、大量の抜け毛。こんな症状が出たら、頭部白癬(しらくも)の可能性があります。
頭部白癬とは、白癬菌が頭部に感染し、繁殖することで起こる皮膚病です。比較的子供がかかりやすい病気として知られていますが、近年では大人の女性にも増えつつあるといわれています。
単なるフケ症と勘違いされることも多いこの病気。放っておいても症状が改善することはほとんどなく、悪化すると髪の毛が全て抜け落ちてしまうこともあります。症状に心当たりがある方は、早めの対処が必要です。
このページでは、頭部白癬(しらくも)の原因と症状、治療法、自分でできる対処法などについて解説します。
(photo by Dermatology Sydney)
頭部白癬(しらくも)の原因と症状
驚くべきことに、日本人の5人に1人が白癬菌に感染しているという調査結果があります。
白癬菌はカビ(真菌)の一種で、人体のいたるところ(主に皮膚)に寄生します。白癬菌が頭皮の毛穴に侵入して感染すると、頭部白癬を発症します。足の爪や指に感染したものは水虫となります。
頭部白癬の症状
- 大量のフケが出る
- 頭皮に瘡蓋(かさぶた)のようなものができる
- 髪の毛が根元から折れたり、ちぎれたりする
- 髪の毛が抜けやすい
- 円形脱毛症のような脱毛斑がある
- 患部が赤く腫れ上がる
- 稀に痒みを伴うことがある
- ケルズス禿瘡
頭部白癬に感染すると、皮膚がボロボロとはがれ落ち(落屑)、フケが大量に発生することがあります。また、髪の毛が大量に抜け、楕円型状の脱毛斑ができます。
脱毛斑の中の髪の毛は、ブラッシングやシャンプーをするときに軽く引っ張っただけでもスルスルと抜けてしまいます。また、髪の毛が根元から折れたり、ちぎれたりすることが多いため、脱毛斑の頭皮には短く残った髪の毛による黒い点が出現します。
ステロイドの外用により、頭皮が化膿して痛みを伴う膿疱ができることがあります。これはケルズス禿瘡といいます。
頭部白癬の感染経路
白癬菌には種類があり、ミクロスポルム・カーニス(犬小胞子菌)やトリコフィートン・トンスランス(トンスランス菌)などが特に感染しやすいとされています。
ミクロスポルム・カーニスは、輸入された犬猫などのペットに寄生していたものが国内に広がったものです。トンスランス菌は、格闘技の外国人選手によって国内に持ち込まれ、柔道やレスリング競技など身体を密着させる格闘技を行なっている人の間で感染が拡大しつつあります。
水虫は一般的にスリッパやバスマットなどを介して人から人へと感染しますが、頭部白癬も水虫と同様にタオルや帽子などの使い回しや人との接触で感染していきます。
また、頭部白癬に感染している人の多くは、身体の他の場所にも白癬菌の感染がみられます。現在は女性でも水虫に感染しているケースが少なくないため、足の水虫に触れた手で頭部を触ったことが原因で感染した可能性も考えられます。
頭部白癬と円形脱毛症の見分け方
頭部白癬は丸い脱毛斑ができることから、円形脱毛症と混同されることがあります。
頭部白癬は脱毛部分にはっきりとした境界がありますが、円形脱毛症のように毛が抜けきらず、不完全な脱毛部分となっていることが多いようです。残っている髪の毛は力を加えなくても簡単に抜けます。
脱毛斑には落屑(らくせつ)が発生しています。円形脱毛症で落屑が発生することはほとんどないため、フケと脱毛の症状が両方とも当てはまる場合、頭部白癬である可能性が高いといえます。
頭部白癬と混同しやすい病気
頭部白癬は別の病気と混同されることがあります。
乾性フケ
頭部白癬は皮膚の表面が乾燥していることから、パラパラと乾燥したフケが出る『乾性フケ』の症状に似ています。ただし、乾性フケでは頭皮の瘡蓋(かさぶた)や脱毛斑は発生しません。
脂漏性皮膚炎
頭部白癬と脂漏性皮膚炎には、頭皮に瘡蓋のようなものができたり、フケが発生するという共通点があります。どちらも真菌によって発生する病気ですが、両者は比較的簡単に見分けることができます。
頭部白癬によって発生するフケはパラパラと乾燥しているのに対し、脂漏性皮膚炎のフケは湿り気があり、大きな塊状になっています。
- 頭部白癬 ⇒ 乾燥した薄く細かいフケ
- 脂漏性皮膚炎 ⇒ 湿った大きな塊状のフケ
また、脂漏性皮膚炎は症状が進行しても脱毛斑ができるほどの抜け毛が発生することはありません。
症状が悪化するとどうなる?
頭部白癬の症状が悪化すると、患部が化膿したり、脱毛斑が広がって頭部全体の髪の毛が抜け落ちることもあります。
また、白癬菌の感染が身体中に広がり、別の病気を引き起こす恐れがあります。体内に感染すると、リンパ節の腫れや発熱を引き起こし、重症化することもあります。
頭部白癬(しらくも)の治療法
頭部白癬は、放っておいても自然に完治することはほとんどありません。それどころか症状が悪化したり、周囲の人に感染を広げることにもなりかねません。できるだけ早く病院で治療を受けることが大切です。
皮膚科を受診し、白癬菌の検査を行ないます。まず、患部の髪の毛を引き抜き、KOH溶液やズームブルーを用いて顕微鏡検査を行ないます。髪の毛の周囲に白癬菌が認められれば診断が確定します。
頭部白癬と診断されれば、抗真菌薬の外用薬を使用して治療を行ないます。白癬菌は毛穴の奥に侵入して繁殖しますので、外用薬で効果がない場合や重症化している場合は内服薬を使用することもあります。
内服薬にはテルビナフィン、イトラコナゾールなどがあります。症状が治まった場合も、テルビナフィンを6週間は内服します。
治療期間は症状によって異なりますが、通常3か月ほどかかります。再発を防止するため、感染した部分の髪の毛が全て抜け落ち、白癬菌がいなくなるまでは治療を継続する必要があります。
頭部白癬(しらくも)の家庭での対処法
頭部白癬への感染が分かったら、ご家庭では以下の点に注意して生活するようにしてください。
- 毎日髪の毛を洗う
- 髪を湿らせたまま放置しない
- 枕カバーをこまめに変える
- タオルや帽子、ヘルメットの貸し借りをしない
- 家族やペットに感染がないか検査する
- 水虫がある場合は同時に治療する
- 自己免疫力を上げる
- 抗真菌成分の含まれたシャンプーを使う
毎日髪の毛を洗う
白癬菌は、健康な皮膚なら24時間、傷などがある場合12時間程度で感染するとされています。感染経路を突き止めるとともに、周囲に感染が広がらないように注意する必要があります。白癬菌の感染を予防するためには、毎日髪の毛を洗い、常に清潔に保つことが大切です。
髪を湿らせたまま放置しない
白癬菌は他のカビと同様に湿った環境を好みます。そのため、洗髪後に髪が濡れたまま放置したり、帽子を被って汗をかいたままにしておくと症状が悪化します。濡れた髪は早めに乾燥させるようにして、白癬菌が増殖しにくい頭皮環境を作りましょう。
枕カバーをこまめに変える
白癬菌の感染が見つかったら、枕カバーや布団カバーはこまめに洗濯し、清潔なものに取り替えるようにしましょう。
1日の3分の1の時間を占めているのが睡眠であり、成長ホルモンが最も分泌される貴重な時間帯でもあります。菌が繁殖するのを防ぎ、皮膚常在菌のバランスを正常化するためには、寝具を清潔にすることが一つの予防策となります。
タオルや帽子、ヘルメットの貸し借りをしない
家族や同居人などに感染者がいる場合、いくら本人が治療を行なっても症状が再発する可能性があります。タオルを使い回したり、帽子やヘルメットの貸し借りをするのは避けましょう。
家族やペットに感染がないか検査する
家族や同居人にも感染が広がると、治療はより複雑で広範囲なものになります。周囲の人からの感染経路を経つとともに、自らも周囲の人に感染させないように注意してください。
白癬菌は、ペットから感染するというケースも少なくありません。ペットに感染が認められる場合は、ペットも同時に治療を行う必要があります。
水虫がある場合は同時に治療する
本人や家族に水虫があるという場合は、水虫の治療も合わせて行います。バスマットを常に清潔に保ち、スリッパや靴を共用しないように注意してください。
自己免疫力を上げる
白癬菌に感染しやすい人は、自己免疫力や肌のバリア機能が低下している可能性があります。バランスの良い食事や規則正しい生活習慣を心がけることも大切です。
抗真菌成分の含まれたシャンプーを使う
髪をいくら丁寧に洗ったとしても白癬菌を死滅させることはほぼ不可能です。白癬菌を完全に殺すには、ステロイド外用薬と合わせて、抗真菌成分が含まれたシャンプーを使用する必要があります。
現在、販売されている抗真菌シャンプーはコラージュフルフルネクストです。皮膚常在菌の増殖を抑える抗カビ成分『ミコナゾール硝酸塩』が配合されており、市販されている中で唯一抗菌効果が認められています。厚生労働省によって認可された医薬部外品で、病院など多くの医療機関の現場でも使用することが推奨されています。
症状が治まった後も白癬菌は生きていますので、少なくとも半年以上は使い続けるようにしてください。
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